【馳星周】
とにかく人の暗黒面が読みたい!とかジョン・ウーのような壮絶な撃ち合いが読みたいのであ
れば彼の作品を強くお勧めします。
ただ読み終わった後に心のバランスが潜れなければいいのですが・・・。
【漂流街(馳星周・徳間文庫)】
相変わらず暗黒路線を突き進んでいます(笑)勢いのある文で一気ではありませんでしたが、
一日で読み終えてしましました。何故一気では無いかというと、クライマックスに至るシーン
の表記が余りに生々しいので続けて読めなかったんです。この本の主人公はブラジルに移民し
た日系3世の『マーリオ』。特徴はしらっと嘘をつけること。しかし嘘を嘘で塗り固めてゆく
彼の末路は?。また彼に関わったことで事件に巻き込まれていく天使の歌声を持つ『カーラ』
そして固執する女性『ケイ』の運命は・・・!?今までの馳作品と大きく違うのは盲目の少女
『カーラ』の存在です。常に絶望や暗黒した存在しなかった馳ワールドに新風を吹き込んでま
す。救いになるのと同時に暗黒面がよりくっきり描かれているからです。この暗黒の文体に興
味をもたれた方は是非お読み下さいませ。
【虚の王(馳星周・カッパ・ノベルス)】
相変わらず暗黒小説を突き進む馳星周さんの新作です。今回は馳さんお得意の新宿歌舞伎町が
舞台ではなく渋谷を取り上げています。当然登場する人物層もかなり若くなっていますが、暗
黒面をしっかりと捕らえて登場人物を動かす手法は健在で、今回もハラハラというよりはドロ
ドロとした心の葛藤を一気に読ませてもらいました。でも劉健一モノ(不夜城)の方が好きと思
ってしまうのは歳をとった証拠なのでせうか(↓の影響でしょう、きっと)?・・・・・・(汗)
【不夜城2】
生き残った健一は、勢力図の変わった新宿歌舞伎町に残っている。そして今回は自分を育て
て道具のように捨てようとした薬屋の主人に牙を剥くチャンスを伺っていた。そこへ歌舞伎町に
二人の日本人が入ってきたことによって微妙にバランスが崩れた。その千載一遇なチャンスを
健一が見逃す訳もなく・・・。といったシナリオな不夜城の2冊目です。
相も変わらず切れまくる健一の頭脳に踊らされる多くの人々が哀れでなりません。今回前作と
大きく違う点は日本人がシナリオの中枢に登場することです。これにより僅かばかりですが身
近な物語になりました。またこの二人の日本人の踊らされ方が惨めで哀しすぎるのですが、
前作の健一の手で殺されたヒロインと同様に物語が引き締まっているように感じられます。
新宿を手に入れた健一の次なる目標は!次巻に期待しています。
【不夜城1】
新宿、歌舞伎町で古物商を営む劉健一は日本と台湾のハーフで両国の言葉を巧みに操るが、そ
れ故にパンパン(中途半端)なヤツとして半人前に扱われていた。しかし以前組んで仕事をし
ていた者が新宿に戻ってきたことから物語が動き始める。●日以内にそいつを始末しないと連
帯責任で殺される宣告をされてしまった健一は巧みな世渡り術でその全てを回避、愛するもの
を自分の手により失い、ももがき苦しみながらも生き残るのであった、というシナリオです。
映画版で金城武が主役だったのでご存じの方も多いかと思います。ただあの映画は少し綺麗す
ぎる感もありますが。小説ではもっとドロドロとした本当は見たくない人の本性というものを
これでもか!というほど見せてくれます。また人の生命の軽さの考え方にも驚かされました。
健一の生き方に共感は出来ないけれど、その活躍は見ていきたいですね。